「美大に行けなかったコンプレックス」は本当にデカイ

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遅ればせながらこの記事を読みました。
かくいう私、美大にめちゃくちゃ行きたかったけどどうしても行けなかった人でして、涙なしには読めませんでした。

タイムラインでブツブツ美大コンプレックスについてつぶやいていましたが、ここでひとつきっちりまとめて書きたいと思います。

どうして行けなかったのか

親から反対されたのが主な理由です。
どうしても行きたいんだ行かせてくれと何度も何度も頼んだけど「学費がない」「お前にそんな才能はない」だとか色々な理由で行くことが出来なかった。おかげで親とは不仲、進路を決めるまでに納得させることが出来ずに、しぶしぶ4大に通いました。

何度も何度も美大予備校のパンフレットを見て、こんなデッサンが同い年でかけるようになるなんて!ここで勉強したい!と気持ちをたぎらせ、その気持を説明するも言い負かされる。おかげで4大に通うための勉強なんて全く気持ちが入らず、毎日机に向かって勉強するフリして絵を書き続けました。同い年の絵の勉強している高校生たちと日々こうやって受ける教育によって差がついていくんだということが悲しくて悲しくて仕方がありませんでした。
結局1ヶ月前から猛勉強を始めてセンター7割を獲得し4大のしょぼくれた地方大学にに飛ばされて、悶々としながら4年間を無為に過ごしました。

「あの時美大に言っていれば」

飛ばされた地方がことごとく自分に合わず、まったく友達のできない4年間を過ごしました。
そのうち私は「周りで友達が東京で楽しそうなキャンパスライフを送っているのにどうして縁もゆかりもない地方に飛ばされて不自由な生活を余儀なくされているんだ、あの時に美大に言っていれば」
と考えるようになりました。18歳、19歳のころは時にその考えに取り憑かれ、何度も何度も自分の環境を呪い、果ては「美大に行かせてくれなかった親」を恨むようになりました。
親との不仲は更に深みを極めほぼ音信不通、編入の話をしようにもその話すらできなくなりました。

「子供が芸大美大に行きたいと言ったら止めてはいけない」とは思わないけど正しい方法で止めないと本当にこじらせる

「止めてはいけない」とは思いません。
学費が国公立のおおよそ4倍かかること、それに美術予備校代もバカにならないこと、行ったからといって必ずしも実を結びとは限らないこと。

すこし距離を取って今の自分を見つめることができるからこそ、あのとき「お前には才能がない」とまで言って止めた両親の気持ちが痛いほど理解できるんです。

ですが、正しい方法で止めないとその気持ちのままズルズルと一般の4大に通って「私はこんなはずじゃ」と思いながら、人生で一番楽しい時期であるはずの大学時代を棒に振ることになりかねません。

美大に行けなくたってものづくりの仕事はできるけど、なかなか上に上がれない

「デザインは独学で誰でもできるんだから、美大に行く必要はない」よく聞く話ですよね。確かに美大に行かなくたってデザインの仕事はできます、事実私が今その道に歩んでいます。

叩き上げで這い上がっていこうと思っていても、美大卒の人たちとはまったく社会階層が別のところにいるんだな、と実感するんです。
具体的な話をすれば、大手広告代理店のクリエイティブに入れるのはほぼ美大卒だけです。みんなが知っているようなデザインがしたい!なんて思っても美大卒でないとそのスタートラインには立てないんです。私達はみんなが知らないようなチラシをコツコツつくっている時に、美大卒のアイツらは有名なCDのジャケットのアートディレクターかもしれない。

独学で這い上がってやっと美大卒のスタートラインに立てるかもしれない、または一生そのステージには立てないかもしれないと思うと本当に目の前真っ暗になります。

 

いろいろな人と関わっているうちにだんだん身の丈がわかってきて諦めと蹴りがついて、「美大に行かなくったって人生ってそこそこ楽しいじゃん」と思えるようになりました。
美大に行けなかったコンプレックスで押しつぶされそうになりながらなんとかクリエイティブで頑張ろうとしてる人、一緒に頑張りましょう。そして芸術を志してしまった子供をお持ちの親御さんたちに少しでもこの記事が届くといいなと思います。